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検討会・シンポジウム

第8回 我が国におけるびんリユースシステムの在り方に関する検討会

開催日時 2012年12月26日(水) 13:00〜15:00
開催場所 大手町サンスカイルーム 27階 D室
(東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル)

検討会会場
検討会 会場

 我が国におけるびんリユースシステムの在り方に関する検討会の第8回目が開催されました。
 今回は(1)平成24年度のびんリユースシステム構築に向けた実証事業の概要と進捗状況の報告と、(2)びんリユース推進に向けたロードマップについて、びんリユース推進協議会からのヒアリング、(3)平成24年度の調査・検討事項についての報告が行われました。


検討会の内容

(1)平成24年度 びんリユースシステム構築に向けた実証事業について

 平成24年度のびんリユースシステム構築に向けた実証事業は、東北地方の復興を進めるため、廃棄物最終処分量を抑制するとともに、最先端の循環ビジネス拠点としての復興を目指すという観点から、平成24年7月から宮城県、秋田県、福島県で実施された3件と、実行性、先進性、発展性・波及性、独自性、関係者との連携といった観点により採択となり、平成24年10月から実施された奈良県の1件の計4件となった。

1. 宮城県におけるびんリユース構築の実証

 宮城県全域を対象に、びんリユース推進のための協議会を設置し、静脈物流に専用箱を利用する「宮城方式」、市町村から行政回収したびんから活きびんを選別・回収しリユースする「仙台方式」の取り組みのもとに拡大を図る。また消費者意識調査として消費者向け清酒愛飲家向け2種類のアンケートを実施、消費者サイドに立ったメリット・デメリットなどをデータ化する。

2. 秋田県におけるびんリユース構築の実証

 秋田県におけるびんリユースシステムの構築に向け、秋田びんリユース協議会を設立。秋田県立大学の協力を得て、びんリユースシステム構築に向けた実態調査を実施。日本酒の流通状況を把握し、得られたデータをもとに今後の方向性を検討する。東北復興支援リユースキャンペーンとして、酒造メーカーの協力を得て、小売店での店頭回収を実施。ちらし、ネックリンガーなどを用いてびんリユースに向けた普及啓発を実施する。

3. 福島県におけるびんリユース構築の実証

 福島県・市町村との連携により福島県容器リユース推進協議会を発足し、県全域での推進を図る。市町村におけるびんリユースに関する取り組みを調査、ごみカレンダーへのリユースびん掲載、活きびん回収などをはたらきかける。東北復興支援R720mlびん回収促進事業を継続、ちらし、ネックリンガー等を活用し、普及啓発とともに更なる回収強化を図る。

東北は地元のお酒を好んで飲まれる人が多く、リユースびんの取り組みに適している。
3件が集中している実証事業の良い点を引き出していけるかが、今後の課題である。

4. 奈良県におけるリユースびんを用いた大和茶飲料開発・販売事業

 奈良県特産の大和茶を使用したリユースびん入り大和茶『と、わ(To WA)』を開発し、地域循環型のリユースシステムの構築を図る。びんはRドロップス2号を用い、デザインは容器グラフィックデザインコンペティションを開催して決定。公共施設、ホテル・飲食店等を中心に普及させることで、広く市民にリユース概念を発信する。これらの需要先はクローズドシステムであり、高い回収率が期待される。ビジネスとしての持続継続性が、今後の課題である。



(2)びんリユース推進に向けたロードマップについて

 びんリユースが進まない理由として、確立された制度がないことや、容器統一の規格・基準が不十分リユースの仕組みが社会的認知を得ていないために、多くの人の協力や進捗点検ができず、リユースし易いための改善も出来ていないという状況がある。この状況を改善し、更なるびんリユースを進めていくためには、社会的に認知された仕組みを作り、市民、事業者、行政の協力によって運用される「地域別協議会」を設立することが必要であると考える。このように考えた時、容器リユースの中長期的ロードマップが必要となる。
 今回の「びんリユースロードマップ(案)」をたたき台にし、より良いびんリユースが進むような論議ができる「検討会」 になるようにお願いしたい。


(3)平成24年度の調査・検討事項について

 びんリユース成功事例集にまとめた事例のうち、成功事例が同種の事業者に波及しない理由についてアンケート調査・ヒアリング調査を実施し、波及方策の検討を行う。
本年度は、業務用クローズドシステムであり、びんリユースの実施可能性が高いと考えられる飲食店チェーンを対象にリユースの取り組みの波及方策を検討する。

コメント

 検討会を終えて、独立行政法人製品評価技術基盤機構 理事長 安井至氏と関東学院大学 教授 織朱實氏にインタビューしコメントをいただきました。


安井至氏コメント

安井至氏
安井 至 氏

 「物事は長期的に取り組まないといけないという課題ですが、残念ながら今のシステムが壊れてしまうと、長期的に必要になった時に社会システムが存続していないという恐怖感を感じます。ですから、現在のような効率ばかり考えているやり方があと何年持つのだろうかと思います。短期的な利益と効率性…実をいうと人件費を削ることが今でいう一番の効率的な方法なのだろうけれど、そのために職を無くしているという現実を皆さんどう思っているのか、ということが最近の疑問です。このことを考える人がいないというわけではありませんが、この社会全体で一番の貴重品だと私が言っている職が、どういうことで無くなっているのかというと、それは短期的な利益を狙っているから、人件費を削ればいいという社会を作っているからです。
 現在地域では職が足りていません。びんリユースの事業は職を作るある種の方法です。自治体はこういうことも理解して協力していただきたいですね。そしてリユースびんで飲んでいることと他の容器で飲んでいることとちょっと違うな、と気づいてほしいです。その辺を広報したいと思っています。」



織氏コメント

織朱實氏
織 朱實 氏

 「透明で綺麗なガラスは女性に好まれる素材です。ガラスびんの女子力をもっと高めて、女性のパワーでガラスびんをもっと好きになってもらう取り組みや情報発信をしていただけたらと思います。」


今後のスケジュール

《びんリユース推進シンポジウム》
日 時: 平成25年2月18日(火) 13:30〜16:30
場 所: ホテルメトロポリタン仙台(宮城県仙台市)

《第9回 検討会》
日 時: 平成25年3月頃(予定)
議 題: びんリユースシステム構築に向けた実証事業の成果報告